エクステリア

2007年5月31日 (木)

0036  156のエクステリア~その26 (総括)

156_sketch_rear 156のエクステリアについては、どうしてもそのギミックに注目が集まりがちですが、ルーフやボンネット、ドア、フェンダー、ピラー、トランクからドアミラーに至るまで、車を構成する基本的なラインが綺麗にまとまらなければ、デザインはどこかで破綻を来たしてしまいます。
実はアールや面の作り込みが巧みであるからこそ、156のデザインは評価されるとKawは思います。

デザイン現場では図面の他、微妙なニュアンスのやり取りが頻繁に行われるそうです。
『あの○×△車のフェンダーの中央付近の曲線』とか『こう・・・・・これくらいのボリューム感で』などなど。
その意思は一種の伝言ゲームのように伝わり、最終的に原寸モデルとして具体化されます。
156のデザインは、まさにダ・シルヴァを始めとするアルファデザイナーの技量とチームワークが実を結んだ結果と言え、その後ジウジアーロによるリデザインと継承されました。

少なくとも156を検討するとき、このデザインがマイナスに働くことはまず無いでしょう。
156のスタイルが、これまでアルファに見向きもしなかった人をもその世界に引き込んだことは、欧州での大ヒットを見れば容易に想像がつきますねv(^^)v

ちなみに写真はラフ段階リアパートのスケッチです。
まだドアミラーは角型、リアバンパーもボディーサイドからのラインがセリ上がるように繋がる様子が伺え、アグレッシブなテールランプも印象的です。


写真 【後方のラフスケッチ】

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2007年5月29日 (火)

0035  156のエクステリア~その25 (フェイスリフト③)

Walter_desilva 一方、156成功の立役者ワルター・ダ・シルヴァですが、デザイナーとしての経歴はフィアット・デザインセンターが始まりです。
その後一時期 IDEAに在籍、後にアルファ・デザインセンターに迎えられます。

ピニンファリーナ作といわれるGTV/スパイダーにも彼のコンセプトカーの影響が見られますが、アルファにおける実質的デビューは145/146でした。
フロントに好き嫌いが分かれるものの、独創的な造形でハッチバックの概念を吹き飛ばしたような145のリアパートは今見ても惚れ惚れするデザインですね。

156では原点回帰ともいえるレトロ感をフィーチャーして円やかな線を描きますが、デザイナーとしての非凡さはタッチが変わっても遺憾なく発揮され、結果156は0.31という優れたcd値を叩き出す、クーペも真っ青なフォルムを持って登場します。
その後、量産車としては147を出すに止まりますが、皮肉なことにその活躍が認められセアトに電撃移籍してしまいます。
ジウジアーロとの絡みがあったかどうかは分かりませんが、いずれにしてもアルファのデザインはブレラ系に統一されていくのは皆さんご存知の通りです。

デザインを統一することはイコール、ブランドイメージの統一である訳ですが、裏を返せばコケる時は皆いっせいにコケる訳で(苦笑)、ある種の慎重さを伴ってコンサバーティブな方に向かわざるを得ません。
フェイズⅢ以降の156や新型車159のデザインに(良い悪いとかの次元ではなく)アクの薄さを感じるのは仕方ないと言えます。


写真 【ワルター・ダ・シルヴァ】

  

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2007年5月26日 (土)

0034  156のエクステリア~その24 (フェイスリフト②)

Giorgetto_giugiaroテールランプはシルヴァ同様のシンプルながら、それまでの物を逆さにしたような形状になりました。
バンパー中央の高さに在った反射板も下方に移すことでアイポイントを下げ、今まで以上に低さの演出を試みています。
尚、フロント、リア、共にバンパー部のアクセントとなる細いパネルは廃止され、同時にフロントのヘッドライトウォッシャーは無くなりました。

フロントと合わせて全体のイメージはスッキリ、アクの強かったフェイズⅠ~Ⅱとは別のファンをも取り込むことに成功します。
フェイズⅢへのフェイスリフトは(フェイズⅠからⅡへの)機能面での改良と時期がズレたことで単なるイメージ戦略と思われがちですが、ジウジアーロがこれを担当した意味は大きかったように思います。
サイドマーカー下に貼られた『DESIGN GIUGIARO』も誇らしげです。

何を隠そう、僕が始めて買ったクルマはジウジアーロデザインのイスズ117クーペ(中古)でした。
彼の仕事は華麗なスタイルの中に必ず実用的な折り合いをつけることが特徴で、先に挙げたブレラもクーペとハッチバックの融合という難しいテーマをサラッと仕上げています。
117クーペやブレラがショーモデルから大幅なデザイン変更無しに量産化されたのは、基本デザインの優秀さに拠るものでしょう。

156に施されたこれらのリデザインは結果として後継機159への橋渡し役も果たしました。

※ 当ブログでは156のマイナーチェンジをフェイズ1、2、3、として認識しております。
よってジウジアーロによるフェイスリフトを機にフェイズ2とする考え方とは異なりますことをご了承下さい。



写真 【イタルデザイン主宰 ジョルジェッ・ジウジアーロ】

  

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2007年5月24日 (木)

0033  156のエクステリア~その23 (フェイスリフト①)

New_face2003年9月、156は外装の大幅な変更(フェイズ3)を行いました。
サスペンションのジオメトリーも若干変更されたようですが、2002年6月のフェイズ2投入時 (※) に機能的なリファインは殆ど済ませていたので、目的は車種ラインナップ絡みのデザイン整理という見方が大半です。

それまでのダ・シルヴァから引き継いだのはかのジウジアーロ。
ショーモデルの『ブレラ』を彷彿させる直球勝負のフロントフェイスは押し出しの強さが特徴で判りやすい顔立ちになりました。
盾型グリルは156の兄弟車147譲りの縦長タイプとなり、より一層インパクトを強いものにしています。

ヘッドランプもキリっとした吊眼になりました。
変更されたグリル方向に瞼を落とし込み、内側に延長することで新しい顔立ちを創り上げています。
グリル形状変更に伴いフロントバンパーとボンネットには手を加えたものの、フェンダーパネルの型はそのままにヘッドランプ外側の形状を変えずにいるのですから、コストを上げずに最大限の効果をという目論見はかなり上手く実現されたと言えます。
何故かしらグリルの一部は奥で閉ざされ開口してないのですが、これによる冷却性能の低下は特に聞かれません。
もっともフェイズⅡとはグリル面積が違うのでこの程度のフェイクは問題なく、むしろフロントバンパーの強度とデザイン性を両立したと考えるのが妥当でしょう。

まあ~どちらか選べと言われたらシルヴァデザインの方が好きなのですが、この大きく食い込んだグリルにはグラッときます。
この男前フェイスの顔立ちが好きで156を購入した方も多いようです。
この辺りは各人の好み次第ですね~事実このフロントマスク版がリリースされたときは『おお~!』と唸った記憶があります。


※ 当ブログでは156のマイナーチェンジをフェイズ1、2、3、として認識しております。
よってジウジアーロによるフェイスリフトを機にフェイズ2とする考え方とは異なりますことをご了承下さい。



写真 【ジウジアーロによる フェイズ3ボディー】

  

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2007年5月22日 (火)

0032  156のエクステリア~その22 (純正ホイール)

Ume_wheel 僕の156は純正装着のホイールとしてこの16インチのアルミが付いて来ました。
俗に言う『梅ホイール』ですが、これが重いの何のって!
しなやかな脚が売りのアルファですが、この重量ではバネ下が・・・でもデザインは好きです(^^)。
このホイールには冬用タイヤを組んでいますが、ちょうど純正ホイールの写真を撮るには今の季節タイミング良かったりします。
スタッドレスのサイズは205/55R16、標準タイヤと同じサイズなのでノーマル状態そのものです。

取り付けはヨーロッパ車に多い、ボルトをホイール側から挿入する方式です。
日本車と逆なのでうまくセンターを合わせながら差し込むのに少々苦労します。

156の日本仕様は2~3cmダウンのキットスポルティーバが標準装着されていて、日本車の『拳が2個入りそうなクリアランス』とは雲泥の差があります。
フェンダーとの隙間が少ない上、ノーマルながらツライチまであと10mm前後のリム面は車体との一体感を演出するのにとりあえず充分です。
ただ日本車の場合、チェーン装着時の隙間を空ける規定になっているので単純に比べるのは可哀想ですね。
かといって、カタログの写真撮るのに砂袋積むのはどうかと思いますが・・・(--;


写真 【純正16インチホイール】
  
  

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2007年5月19日 (土)

0031  156のエクステリア~その21 (塗装について)

よくイタリア車の塗装は弱いと言われますが本当でしょうか?
ショールームでアルファを見た方は、他メーカーに負けないくらいネットリとした塗面の質感に心奪われると思います。
ところが街中で見るアルファは(スタイリングにインパクトは在るものの)ペイントの美しさに感心することは少ないですよね。
新車状態の塗面輝度は日本車と変わらないそうですが、2~3年で2~3割の差が出るそうですから、やはり耐久性は低いのだと思います。

C_pillar一説にどうもアルファの塗装は硬度が低いと言われ、日本の気候にも合ってないみたいです。
バイクの話で恐縮ですが、同じイタリアメーカーのモトグッツィは、バックステッププレート等の塗装が経年劣化で色褪せます。
もちろん新車では鮮烈な色を発しますが、年数が経つと徐々に彩度が低くなるのです。
アルファのボディーもこれと同じ傾向に色味が変わる感じがします。
特にイメージカラーのレッド系はダーク系より退色の進行が早いようですね。
元々レッドはイエローと並んで紫外線退色の影響が激しいので仕方ないのかも知れません。

あと、塗面の硬度と引き換えに美点とされる塗装の厚さも実際それほどでもありません。
つまり『小キズが付いても塗装が厚いから、コンパウンドで一皮剥いて・・・』は幻想に過ぎないということです。
理想は屋根付きガレージ保管ですが。

ちなみに・・・アップしている写真、光の加減でネイビーに見えちゃいますが、僕の156はブラックです。
月ぎめ駐車場への青空パーキングなので環境はあまり良くありません(--;


写真 【塗面チェックポイントのひとつ Cピラー付近】
  
  

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2007年5月17日 (木)

0030  156のエクステリア~その20 (155との比較 4)

Bmw_3 156大ヒット当時、某雑誌にKawの好きな自動車評論家の一人、F氏が156のことをけっこう批判的に書いていました。
要は『パッケージングが4ドアセダンとして薄っぺらい・・・』みたいな内容でした。
他にも155擁護論は各所で見られ、『真のベルリーナは155である』とまで言われる始末。
確かに今回のような検証をすればある種155から後退した箇所が多々ありますね。

では、156は邪道なのか? それは間違いのように思います。
アルファの真骨頂は戦前からのレース活動に由来するスポーティーな車造りであって、実用性の前にそのアイデンティティーを表現できなければなりません。
もしBMWが室内空間の拡大を狙ってFF化したらどうでしょう?
『真っ当なセダン』という言葉を満たすためにアルファの持つイメージを殺すのはナンセンス極まりないことです。

156は実用性で155に譲るものの、他に代えがたいアルファのセダンとしての美点を数多く持っています。
それはアルファ以外の何物でもありません。
広くて、便利で、快適で、楽ちん、そんなセダンが欲しいなら他メーカーを探せば良いことです。
アルファがカローラ作っても誰も喜ばないとKawは思うのですが・・・。


写真 【頑なにFRを貫き支持を集める、BMW(3シリーズ)】

  

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2007年5月15日 (火)

0029  156のエクステリア~その19 (155との比較 3)

156_front_overhang 反面、156の美点はフロントシート周りにあります。
155ではストレートハンドに近かったステアリングポジションは足元に余裕が出来たことで改善されましたし、なだらかにボンネットから流れるフロントウインドーは空力的に有利なだけでなくスピード感のある視界を演出しており、ローポジションのシートは寝かせ気味の運転姿勢を採っても操作に破綻を来たしません。
主として55mmの延長分はこれらと車高に均等分配され、リアシートの居住性には貢献しなかったと思われます。
ちなみに居住性で言えば4シーターと+2シーターの中間を想像してもらえれば間違いないですね(^^)

トランクルームに目を移せば、最初見て思い出したのはシトロエンのエグザンティアのトランク造形。
156も高さを抑えかなり早めに切り落とされています。
短めのリアオーバーハングが後半を視覚的に軽く見せ、同時に従来の弱点のひとつリア周りの慣性も軽減されたであろうことが想像できます。
ただリアとの比較においてフロントオーバーハングは少々長め、恐らくこれ以上長ければかなりバランスは悪いものになったでしょう。
個人的にはあと30~40mm縮めて欲しかったように思います。


写真 【ボディ比で長めの156フロントオーバーハング】

  

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2007年5月12日 (土)

0028  156のエクステリア~その18 (155との比較 2)

155_rear 実用車として見た場合、155のパッケージングは秀逸です。
クサビ型の155はリア方向にルーフとトランクの位置が高くなり、上下の容量を稼げる形をしています。
その特性を生かしているのが後部座席、前席を少し見下ろせるようなポジションと着座姿勢をアップライトにしてヘッドスペースと膝元のクリアランスを確保しています。
もちろんトランクルームも高さ充分、充分実用に耐えるパッケージとなりました。

一方、155の室内空間が高評価を受けていたにもかかわらず、156は低く見えるスタイリングを優先しました。
マーケティング的にも親会社フィアットとの差別化とヒットは必須条件、結果としてスポーティーなスタイルという直球勝負に出ざるを得なくなったとも言えます。
156は全長を短くしながらもそれを上回る比率で高さを殺しており、ボリュームに一番相違が見られるトランク周りも低さの演出に一役買っています。

ホイールベースは156で何と55mmも延長されました。
155のまま余裕分を室内スペースに向けた場合、最大で握りこぶし1個分も後部座席のクリアランス拡大ができる計算になります。
しかし156はそのストレッチ分をスタイル構築のために振り分けたせいで居住性は全く向上していません。
もちろん外寸法からすれば標準的な広さは確保していますが、後部座席の埋もれ感を155と比較されるといささか辛いものがある窮屈な空間になっています。


写真 【特徴的な155のトランク造形】

  

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2007年5月10日 (木)

0027  156のエクステリア~その17 (155との比較 1)

Comp_with_155 前モデル155とフォルムの違いが如実に現れるのがこのサイドビューです。
比較のために両車のシルエットを重ねてみました。

ディメンションは以下の通りです。

            156    155       155との差
全 長      4430mm    4445mm   (-15mm /-0.3% )
全 幅      1755mm    1730mm   (+25mm /+1.5% )
全 高      1415mm    1440mm   (-25mm /-1.7% )
Wベース     2595mm    2540mm   (+55mm /+2.2% )

ホイールベース以外は30mm未満の変化に留まっています。
自動車設計においてこれら数値は決して小さなものではありませんが、寸法上の外形はそれほど大きく変化していないことが分かります。
逆に我々が受ける印象の隔たりは大きく、これらの違いはそのままコンセプトの違いであることが判ります。

尚、横方向のシルエットには関係しませんが、全幅では156が25mm大きくなっています。
しかしながらボクシーな155と対照的に丸みを帯びた156はむしろスリムにさえ見えます。
反面、高さが減少した分、『遠目から見る156』が155より大きく見えることも確か・・・この辺は実寸と視覚の差が出て面白いところですね。


写真 【155と156、横シルエットの比較】

  

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