エンジン

2008年5月 4日 (日)

0075  156のエンジン~その26

V6エンジン/ ⑫

少々話はズレますが・・・Dino_v6かのフェラーリ創設者、エンツォがアルファ出身なのは有名です。
とはいえ最近の8Cコンペティ ツィオーネにフェラーリ/マセラティー製V8が搭載されるまでパワーユニットの直接供給はありませんでした。
しかしアルファ/フェラーリ間においては技術者の行き来が多少なりともあったようで、アルファV6開発にいくつかの技術供与があったという噂・・・あながち嘘ではないようです。
奇しくもディーノに搭載されたV6ユニットは246GTで2.5リッターに発展しており、その大ヒットはアルファの開発時期と微妙にオーバーラップします。

ヘッド形式(SOHC/DOHC)、バンク角(60度/65度)、駆動方式(ベルト/チェーン ※いずれも前者がアルファ) 等は違うものの、ショートストロークV6ユニットという様式にはスポーツエンジンとしてコンセプト上の共通点が見られるように思えます。
後にディーノV6はランチア・ストラトスに搭載されラリーフィールドで大暴れしましたし、アルファV6の活躍も皆さんご存知の通りです。
156搭載にあたってDOHC化されたV6(190ps/22.6kg-m)ですが、達成した数値が246GT版(198ps/22.9kg-m)に近いというのは面白い結果ですね。
発生回転域はフェラーリの方が若干高めです。


写真 【ディーノ搭載 フェラーリ製V6ユニット】   

  

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2008年4月28日 (月)

0074  156のエンジン~その25

V6エンジン/ ⑪

特徴的なヘッド周りを持ってデビューしたアルファ製V6ですが、セイ搭載時はまだキャブレターに気化を頼っていた頃・・・このユニットにはダウンドラフトキャブレターが何と6連装されていました。

どういった経緯で採用されたか定かではありませんが、デロルト製もしくはウェーバー製シングルチョーク6機をセミオーバルタイプのエアクリーナーボックスと共に内バンクへまとめて乗せたのです。
これによりエンジンの全高は高くなり、基本設計の利点と相殺された形になってしまったのは皮肉なことです。

1980_gtv_6 翌年1980年アルフェッタGTVに搭載されたV6は、時代の波に乗ってボッシュ製インジェクションが採用されています。
ちなみにセイはアルフェッタ系のシャーシからいわばストレッチしたフロントミッションのサルーン、GTVは同じアルフェッタ系ながらトランスアクスルレイアウトのスポーツモデル。
上級サルーンとスポーツクーペの代名詞に相次いで採用されたことから、当時のアルファがこのエンジンに託した期待の大きさが伺えます。


写真 【 インジェクション採用 1980年式 GTV6 】

  

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2007年10月16日 (火)

0073  156のエンジン~その24

V6エンジン/ ⑩

Engine_block オールアルミ化によって気になるのは剛性と精度ですが、このV6のペリメーター式と呼ばれる構造は現代ユニットと比べても見劣りしないレベルの強度を持ち、肉厚のブロックは経年変化と熱に耐えうる優れた設計です。
これは先に述べた充分な開発費用の投入と緩やかな時間的制約、後に3リッターまで拡大することを見越してのマージンがもたらした副産物で、我々が『イタリア製』と聞いて想像する物とは別モノの加工精度を誇ります。

ピストンと直接触れる鋳鉄スリーブも高回転域の発熱に耐えるウエットライナー式、オイル循環量も豊富でクーリングにも神経が行き届いています。
実用強度を保ったまま極力軽量化されたクランクシャフトやダブルウエイト方式のフライホイールは優れたバランスを保ち、鋭いピックアップとともに低域の回転バランス向上にも一役買っています。

現在では『味がある』という表現で片付けられがちなアルファユニットですが、当時の技術レベルは他社のお手本となるもので、後に日産のVG型を始めとする日本製V6が参考にしたという話は有名です。
ただ『フルコピー』と言われるまでの見本性はなく、各パートごとのノウハウやその考え方において影響を与えたと捉えるのが妥当でしょう。


写真 【強固な構造のエンジンブロック/イラスト】

  

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2007年9月13日 (木)

0072  156のエンジン~その23

V6エンジン/ ⑨

ヘッドと説明が前後してしまいましたが、エンジンの要となるブロックはヘッドと同じアルミ合金製です。
設計段階で上限3リッターまでの排気量を想定したボアピッチ133mmから、燃焼効率の境目とも言われる90mmに近い88mmのボア径を設定、ストロークは68.3mmの、いわゆるオーバースクエア型です。

高出力を狙ったビッグボア/ビッグバルブ/ショートストロークピストンの組み合わせ、これは30年経った今、V型にスペースユーティリティーを目論んだロングストロークへの回帰が見られる中、ことさら吹け上がりの素早さが強調される結果となりました。
全長に関しては水平対向に及びませんが、ビッグボアに拠って各気筒の中心距離が長くなる形式にもかかわらず直4並に小型化が図られ、ショートストロークによって抑えられたエンジン高により搭載の自由度は高いものだったとされています。

156_engine_room事実、2リッタークラスのコンパクトボディーにスラントしたノーズデザインを持つ156、開発当初のSOHCからDOHCになったにもかかわらず、このボンネットに3リッタークラスのV6が収まっている様はちょっとしたマジックですらあります。
エンジンルームを開けて見るまでV6の存在を想像できない人も多いのではないでしょうか。


写真 【156のエンジンルーム(V6)】   

  

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2007年9月 1日 (土)

0071  156のエンジン~その22

V6エンジン/ ⑧

V6_belt_drive もう一つの特徴は各動作系を1本のベルトによる駆動としたことです。
直列と違って各バンク別に駆動系を設けなければならない弱点を長いベルト1本に託したことで、複雑になりがちな箇所を取りまとめることに成功しています。

反面その長さからくる伸びや耐久性の克服に腐心した跡もみられ、油圧制御ベルトテンショナーの開発が無ければ実現は不可能だったと言われています。 
チェーンドライブとしなかったのはオールアルミ製ゆえの熱膨張と、駆動系の重量増を嫌ったという意見が多いのですが、これについての真偽は定かではありません。
良くも悪くもこのベルトはアルファV6を特徴付けるパートのひとつです。

ベルト切れの恐怖・・・V6オーナーのみならずベルト仕様のアルファユニットに付きまとう曲者です。
とくに全長のあるV6用では2万キロとさえ言われる耐久性・・・実際はテンショナーの管理とメインテナンスに加えベルト劣化の見極め次第で4~6万キロ程は充分持つそうです。
ただし本国イタリアとの気候差など環境と使用状況に左右される為、安全マージンを見込むと2~3万キロとか(--;
あまりこのウィークポイントをケチると取り返しのつかないことに・・・もちろん切れないまでもコマ飛び等によるタイミングの変化等、最悪の場合バルブクラッシュも引き起こす致命傷となってしまいます。
やはりノウハウのあるショップやディーラーに託すのが一番なのでしょう。


写真 【特徴的な駆動ベルト配置/(※ DOHC版)】  

  

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2007年8月30日 (木)

0070  156のエンジン~その21

V6エンジン/ ⑦

V6_single_valveアルファV6のSOHC機構ですが、これは各バンク1本、両ヘッド合わせて2本のカムシャフトをオフセット配置し、2個のバルブの片方をプッシュロッド駆動するというもので、SOHCとOHVのいいとこ取りを目指したものです。

Vバンクは60度の狭角構成、吸気バルブは相対するように内側にセットされカムシャフトが直接リフトアップします。
一方、別にプロフィール設定された排気用のカム山が、プッシュロッドとロッカーアームを介して排気バルブをリフトアップさせるという複雑な構造が特徴です。
この方式の利点は何よりも、シングルカムながら点火プラグのセンター配置が可能ということ。
ボアセンター上にカムシャフトが配置される通常の形式ではこれが難しくなるためのアイデアと言われています。

当時は、ビッグバルブにより吸排気量を増大させ、半球形のコンパクトな燃焼室でガスを圧縮、適正なスワールを発生させたところをセンタープラグで一気に燃焼させる手法が理想でしたから、設計上の狙いとしては的を得ていたと言えます。
ヘッドの重さを嫌ってSOHCとしながらもパワーの両立を目指したアルファ流の選択だったかも知れません。


写真 【アルファV6独特の複雑なSOHC機構】   

  

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2007年8月28日 (火)

0069  156のエンジン~その20

V6エンジン/ ⑥

V6を開発するにあたってまずアルファに課せられた課題は、アルファの代名詞とも言えるDOHCというヘッド形式の見直しでした。
今までの直列4気筒に対し、V型では両バンク別にカムシャフトを設ける必要があり、DOHCのままでは頭の重さが問題となりました。
大型セダンのセイはともかく、追って搭載予定のアルフェッタ(GTV6)では運動性能に影響を与える可能性は大きく、参戦予定のツーリングカーレース(FIAグループA)に向けて何かしらの軽量化が検討されたようです。

そこでこのV6は非常に凝った手法のSOHC形式にチャレンジします。
そのレイアウトには理由がありましたが、DOHCを捨ててまでこだわった末に完成した機構はかなり特殊なものでした。

American_v6_ohvちなみにアメリカ車では実質V8のスケールダウン版としてのV6が数多く存在しましたが、形式はOHV、材質もスチールブロックでした。
そんな中にあってアルファV6はSOHC+材質をオールアルミ製とし、軽量化へ執念を燃やします。

加えてカムシャフトは内側配置されマスの集中化と両側への張出しを抑えることに成功、バルブ狭角も37度と効率に優れたコンパクトな燃焼室を形成し、ヘッドの小型化に一役買っています。
結果、このV6は非常に小型軽量なエンジンとして仕上がったのです。


写真 【典型的なOHV式 アメリカンV6 (フォード製)】 

  

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2007年8月25日 (土)

0068  156のエンジン~その19

V6エンジン/ ⑤

Montreal 当時のアルファは1970年に発売の『モントリオール』で既にV型8気筒を経験しています。
これはレースカー『ティーポ33』のデチューン版とも言われ、市販化にあたり排気量は2500ccに拡大されますが DOHC、90°V8という同仕様でした。
搭載されたボディーはベルトーネ製、(カウンタックで有名な)かのマルチェロ・ガンディーニの作品と言われています。
シャーシはジュリアクーペからの流用で、これは前後のオーバーハングの長さに見てとれます。
足回りはGT系を移植、性能面を見ると当時流行のスーパーカー軍団には一歩届かない印象も受けますが、高速安定性の優れた上質なGTカーであったと聞いています。

このV8、発表は1967年であったことから、V6開発が始まった頃には存在したことになりますが、Kawが調べた限りではV8がV6開発に直接何らかの影響を与えたかは不明です。
しかし先に挙げたブッソの存在とともに、高性能V型を開発する充分なノウハウがアルファに備わっていたことは確かでしょう。
幸い当時のアルファはジュリアシリーズのヒットやレースでの活躍を受け、新型エンジンに対する充分な投資が可能でした。
運が味方した部分もありますが、手間暇かけた基本設計の秀逸さはV6ユニットを長寿に導いた要因のひとつでもあります。


写真 【アルファロメオ モントリオール(V型8気筒)】   
   

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2007年8月23日 (木)

0067  156のエンジン~その18

V6エンジン/ ④

Giuseppe_busso開発の主任技術者はかのジュゼッペ・ブッソ、特にアルファV6ファンには忘れられない名前でしょう。

彼は1913年トリノ生まれ、世界大戦時の兵役を終えいくつかの企業を渡り歩いた後、1977年までアルファに在籍し、主に技術部門の統括をしていました。
一説ではアルファに1948年から入ったとされますが、実際は1937年にフィアットの航空機部門に入社、その後1939年にアルファ入りしたようです。

彼はエンジンのみならずメカニカルコンポーネンツ全般に精通しており、その守備範囲はかなり広いものだったと言われています。
かのアルファTZの開発にも積極的で、メカどころかボディーの空力まで提言していたと噂されますから、その力量の大きさが想像出来ますね。

それもその筈、ブッソは1946年にアルファから出向という形でフェラーリへ赴き、125スポーツや166SCなどを開発した経歴を持っています。
すなわちエンジニアとしては超一流、TZとは前後しますが60年代には元フェラーリのエンジニア、アウトデルタを率いるカルロ・キティーと共にTipo33/2の開発に携わっています。

面白いことに、166SCでは当時150psという優れた性能を2リッターV12型という形式で、Tipo33/2では2リッターV8で270ps(公道版のストラダーレはデチューンされ230ps)を達成しています。
もちろんジュリエッタ搭載の1300ccアルミ製DOHCユニットに代表されるように他形式エンジンにも明るかった彼ですが、アルファV6を生み出すにあたって『V型のスペシャリスト』であったことは非常に有利だったと想像できます。

残念なことに、ブッソは昨年(2006年)その生涯を終えました。
彼の葬儀は1月7日土曜日、アレーゼにあるサン・ピエトロとパウロの教会でしめやかに行われたそうです。


写真 【アルファV6生みの親、故ジュゼッペ・ブッソ】

  

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2007年8月21日 (火)

0066  156のエンジン~その17

V6エンジン/ ③

2600_berlina アルファにとって6気筒エンジン自体は戦前から名作が並んでおり、特に珍しいことではありません。
しかし形式はすべて直列型でした。
1962年、久々に2600ベルリーナで復活した6気筒も直列型、もちろん出力特性や回転バランスにおいて好ましいパフォーマンスを発揮し、シングルキャブレターにもかかわらず当時としてはトップクラスの132psという出力を得て顧客の高級志向に応えました。

ただしスポーティーかつ実用的な箱型車を真骨頂としていた当時のアルファにとって直列ゆえの全長は快適な車内空間の構築にはマイナス要因でした。
また高級モデルとして位置づけた6気筒の購買層がまだ少数だったこともあり、台数はアルファの思惑通りほど伸びなかったと聞いています。

68年、2600の生産を終了するとアルファにのラインナップは4気筒のみになり、直6に変わる新型エンジンへの期待はさらに高まります。
各メーカーがこぞって参加していた市販車ベースのツーリングカーレースでの使用は後々回避できない課題になりましたし、かといってそれだけの新型車リリースは現実的でありません。
欲しいのは直4クラスのコンパクトさと直6並みの回転バランス・・・導き出された答えはV型6気筒でした。


Special Thanks !!

2600 Berlina の写真を探すうち素敵なサイトに出会いました(^^)。

  『BEAUTIFUL CARS OF THE ’60s』
  http://blog.goo.ne.jp/koyapop/

モノクロを中心とした Koyapop さん撮影のオリジナル写真が、惜しげもなく満載されたブログです。
車好きならずともハッと目を奪われる作品の数々・・・添えられたコメントからカーデザインへ造詣の深さがうかがえます。
現代にレストアされた車体と違う、当時そのままの風景と’60s カーの輝き! 是非ご覧下さい。

今回の写真はKoyapop さんから特別に御許可をいただき掲載させていただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます~ありがとうございました!!


写真 【アルファ最後の直6 2600 ベルリーナ(直列6気筒)】
    ※ Koyapop さんから御提供いただきました!  
  

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