エンジン

2008年5月 4日 (日)

0075  156のエンジン~その26

V6エンジン/ ⑫

少々話はズレますが・・・Dino_v6かのフェラーリ創設者、エンツォがアルファ出身なのは有名ですね。
とはいえ最近の8Cコンペティ ツィオーネにフェラーリ/マセラティー製V8が搭載されるまでパワーユニットの直接供給はありませんでした。
しかしアルファ/フェラーリ間においては技術者の行き来が多少なりともあったようで、アルファV6開発にいくつかの技術供与があったという噂・・・あながち嘘ではないようです。
奇しくもディーノに搭載されたV6ユニットは246GTで2.5リッターに発展しており、その大ヒットはアルファの開発時期と微妙にオーバーラップします。

ヘッド形式(SOHC/DOHC)、バンク角(60度/65度)、駆動方式(ベルト/チェーン ※いずれも前者がアルファ) 等は違うものの、ショートストロークV6ユニットという様式にはスポーツエンジンとしてコンセプト上の共通点が見られるように思えます。
後にディーノV6はランチア・ストラトスに搭載されラリーフィールドで大暴れしましたし、アルファV6の活躍も皆さんご存知の通りです。
156搭載にあたってDOHC化されたV6(190ps/22.6kg-m)ですが、達成した数値が246GT版(198ps/22.9kg-m)に近いというのは面白い結果ですね。
発生回転域はフェラーリの方が若干高めです。


写真 【ディーノ搭載 フェラーリ製V6ユニット】   

  

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2008年4月28日 (月)

0074  156のエンジン~その25

V6エンジン/ ⑪

特徴的なヘッド周りを持ってデビューしたアルファ製V6ですが、セイ搭載時はまだキャブレターに気化を頼っていた頃・・・このユニットにはダウンドラフトキャブレターが何と6連装されていました。

どういった経緯で採用されたか定かではありませんが、デロルト製もしくはウェーバー製シングルチョーク6機をセミオーバルタイプのエアクリーナーボックスと共に内バンクへまとめて乗せたのです。
これによりエンジンの全高は高くなり、基本設計の利点と相殺された形になってしまったのは皮肉なことです。

1980_gtv_6 翌年1980年アルフェッタGTVに搭載されたV6は、時代の波に乗ってボッシュ製インジェクションが採用されています。
ちなみにセイはアルフェッタ系のシャーシからいわばストレッチしたフロントミッションのサルーン、GTVは同じアルフェッタ系ながらトランスアクスルレイアウトのスポーツモデル。
上級サルーンとスポーツクーペの代名詞に相次いで採用されたことから、当時のアルファがこのエンジンに託した期待の大きさが伺えます。


写真 【 インジェクション採用 1980年式 GTV6 】

  

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2007年10月16日 (火)

0073  156のエンジン~その24

V6エンジン/ ⑩

Engine_block オールアルミ化によって気になるのは剛性と精度ですが、このV6のペリメーター式と呼ばれる構造は現代ユニットと比べても見劣りしないレベルの強度を持ち、肉厚のブロックは経年変化と熱に耐えうる優れた設計です。
これは先に述べた充分な開発費用の投入と緩やかな時間的制約、後に3リッターまで拡大することを見越してのマージンがもたらした副産物で、我々が『イタリア製』と聞いて想像する物とは別モノの加工精度を誇ります。

ピストンと直接触れる鋳鉄スリーブも高回転域の発熱に耐えるウエットライナー式、オイル循環量も豊富でクーリングにも神経が行き届いています。
実用強度を保ったまま極力軽量化されたクランクシャフトやダブルウエイト方式のフライホイールは優れたバランスを保ち、鋭いピックアップとともに低域の回転バランス向上にも一役買っています。

現在では『味がある』という表現で片付けられがちなアルファユニットですが、当時の技術レベルは他社のお手本となるもので、後に日産のVG型を始めとする日本製V6が参考にしたという話は有名です。
ただ『フルコピー』と言われるまでの見本性はなく、各パートごとのノウハウやその考え方において影響を与えたと捉えるのが妥当でしょう。


写真 【強固な構造のエンジンブロック/イラスト】

  

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2007年9月13日 (木)

0072  156のエンジン~その23

V6エンジン/ ⑨

ヘッドと説明が前後してしまいましたが、エンジンの要となるブロックはヘッドと同じアルミ合金製です。
設計段階で上限3リッターまでの排気量を想定したボアピッチ133mmから、燃焼効率の境目とも言われる90mmに近い88mmのボア径を設定、ストロークは68.3mmの、いわゆるオーバースクエア型です。

高出力を狙ったビッグボア/ビッグバルブ/ショートストロークピストンの組み合わせ、これは30年経った今、V型にスペースユーティリティーを目論んだロングストロークへの回帰が見られる中、ことさら吹け上がりの素早さが強調される結果となりました。
全長に関しては水平対向に及びませんが、ビッグボアに拠って各気筒の中心距離が長くなる形式にもかかわらず直4並に小型化が図られ、ショートストロークによって抑えられたエンジン高により搭載の自由度は高いものだったとされています。

156_engine_room事実、2リッタークラスのコンパクトボディーにスラントしたノーズデザインを持つ156、開発当初のSOHCからDOHCになったにもかかわらず、このボンネットに3リッタークラスのV6が収まっている様はちょっとしたマジックですらあります。
エンジンルームを開けて見るまでV6の存在を想像できない人も多いのではないでしょうか。


写真 【156のエンジンルーム(V6)】   

  

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2007年9月 1日 (土)

0071  156のエンジン~その22

V6エンジン/ ⑧

V6_belt_drive もう一つの特徴は各動作系を1本のベルトによる駆動としたことです。
直列と違って各バンク別に駆動系を設けなければならない弱点を長いベルト1本に託したことで、複雑になりがちな箇所を取りまとめることに成功しています。

反面その長さからくる伸びや耐久性の克服に腐心した跡もみられ、油圧制御ベルトテンショナーの開発が無ければ実現は不可能だったと言われています。 
チェーンドライブとしなかったのはオールアルミ製ゆえの熱膨張と、駆動系の重量増を嫌ったという意見が多いのですが、これについての真偽は定かではありません。
良くも悪くもこのベルトはアルファV6を特徴付けるパートのひとつです。

ベルト切れの恐怖・・・V6オーナーのみならずベルト仕様のアルファユニットに付きまとう曲者です。
とくに全長のあるV6用では2万キロとさえ言われる耐久性・・・実際はテンショナーの管理とメインテナンスに加えベルト劣化の見極め次第で4~6万キロ程は充分持つそうです。
ただし本国イタリアとの気候差など環境と使用状況に左右される為、安全マージンを見込むと2~3万キロとか(--;
あまりこのウィークポイントをケチると取り返しのつかないことに・・・もちろん切れないまでもコマ飛び等によるタイミングの変化等、最悪の場合バルブクラッシュも引き起こす致命傷となってしまいます。
やはりノウハウのあるショップやディーラーに託すのが一番なのでしょう。


写真 【特徴的な駆動ベルト配置/(※ DOHC版)】  

  

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2007年8月30日 (木)

0070  156のエンジン~その21

V6エンジン/ ⑦

V6_single_valveアルファV6のSOHC機構ですが、これは各バンク1本、両ヘッド合わせて2本のカムシャフトをオフセット配置し、2個のバルブの片方をプッシュロッド駆動するというもので、SOHCとOHVのいいとこ取りを目指したものです。

Vバンクは60度の狭角構成、吸気バルブは相対するように内側にセットされカムシャフトが直接リフトアップします。
一方、別にプロフィール設定された排気用のカム山が、プッシュロッドとロッカーアームを介して排気バルブをリフトアップさせるという複雑な構造が特徴です。
この方式の利点は何よりも、シングルカムながら点火プラグのセンター配置が可能ということ。
ボアセンター上にカムシャフトが配置される通常の形式ではこれが難しくなるためのアイデアと言われています。

当時は、ビッグバルブにより吸排気量を増大させ、半球形のコンパクトな燃焼室でガスを圧縮、適正なスワールを発生させたところをセンタープラグで一気に燃焼させる手法が理想でしたから、設計上の狙いとしては的を得ていたと言えます。
ヘッドの重さを嫌ってSOHCとしながらもパワーの両立を目指したアルファ流の選択だったかも知れません。


写真 【アルファV6独特の複雑なSOHC機構】   

  

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2007年8月28日 (火)

0069  156のエンジン~その20

V6エンジン/ ⑥

V6を開発するにあたってまずアルファに課せられた課題は、アルファの代名詞とも言えるDOHCというヘッド形式の見直しでした。
今までの直列4気筒に対し、V型では両バンク別にカムシャフトを設ける必要があり、DOHCのままでは頭の重さが問題となりました。
大型セダンのセイはともかく、追って搭載予定のアルフェッタ(GTV6)では運動性能に影響を与える可能性は大きく、参戦予定のツーリングカーレース(FIAグループA)に向けて何かしらの軽量化が検討されたようです。

そこでこのV6は非常に凝った手法のSOHC形式にチャレンジします。
そのレイアウトには理由がありましたが、DOHCを捨ててまでこだわった末に完成した機構はかなり特殊なものでした。

American_v6_ohvちなみにアメリカ車では実質V8のスケールダウン版としてのV6が数多く存在しましたが、形式はOHV、材質もスチールブロックでした。
そんな中にあってアルファV6はSOHC+材質をオールアルミ製とし、軽量化へ執念を燃やします。

加えてカムシャフトは内側配置されマスの集中化と両側への張出しを抑えることに成功、バルブ狭角も37度と効率に優れたコンパクトな燃焼室を形成し、ヘッドの小型化に一役買っています。
結果、このV6は非常に小型軽量なエンジンとして仕上がったのです。


写真 【典型的なOHV式 アメリカンV6 (フォード製)】 

  

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2007年8月25日 (土)

0068  156のエンジン~その19

V6エンジン/ ⑤

Montreal 当時のアルファは1970年に発売の『モントリオール』で既にV型8気筒を経験しています。
これはレースカー『ティーポ33』のデチューン版とも言われ、市販化にあたり排気量は2500ccに拡大されますが DOHC、90°V8という同仕様でした。
搭載されたボディーはベルトーネ製、(カウンタックで有名な)かのマルチェロ・ガンディーニの作品と言われています。
シャーシはジュリアクーペからの流用で、これは前後のオーバーハングの長さに見てとれます。
足回りはGT系を移植、性能面を見ると当時流行のスーパーカー軍団には一歩届かない印象も受けますが、高速安定性の優れた上質なGTカーであったと聞いています。

このV8、発表は1967年であったことから、V6開発が始まった頃には存在したことになりますが、Kawが調べた限りではV8がV6開発に直接何らかの影響を与えたかは不明です。
しかし先に挙げたブッソの存在とともに、高性能V型を開発する充分なノウハウがアルファに備わっていたことは確かでしょう。
幸い当時のアルファはジュリアシリーズのヒットやレースでの活躍を受け、新型エンジンに対する充分な投資が可能でした。
運が味方した部分もありますが、手間暇かけた基本設計の秀逸さはV6ユニットを長寿に導いた要因のひとつでもあります。


写真 【アルファロメオ モントリオール(V型8気筒)】   
   

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2007年8月23日 (木)

0067  156のエンジン~その18

V6エンジン/ ④

Giuseppe_busso開発の主任技術者はかのジュゼッペ・ブッソ、特にアルファV6ファンには忘れられない名前でしょう。

彼は1913年トリノ生まれ、世界大戦時の兵役を終えいくつかの企業を渡り歩いた後、1977年までアルファに在籍し、主に技術部門の統括をしていました。
一説ではアルファに1948年から入ったとされますが、実際は1937年にフィアットの航空機部門に入社、その後1939年にアルファ入りしたようです。

彼はエンジンのみならずメカニカルコンポーネンツ全般に精通しており、その守備範囲はかなり広いものだったと言われています。
かのアルファTZの開発にも積極的で、メカどころかボディーの空力まで提言していたと噂されますから、その力量の大きさが想像出来ますね。

それもその筈、ブッソは1946年にアルファから出向という形でフェラーリへ赴き、125スポーツや166SCなどを開発した経歴を持っています。
すなわちエンジニアとしては超一流、TZとは前後しますが60年代には元フェラーリのエンジニア、アウトデルタを率いるカルロ・キティーと共にTipo33/2の開発に携わっています。

面白いことに、166SCでは当時150psという優れた性能を2リッターV12型という形式で、Tipo33/2では2リッターV8で270ps(公道版のストラダーレはデチューンされ230ps)を達成しています。
もちろんジュリエッタ搭載の1300ccアルミ製DOHCユニットに代表されるように他形式エンジンにも明るかった彼ですが、アルファV6を生み出すにあたって『V型のスペシャリスト』であったことは非常に有利だったと想像できます。

残念なことに、ブッソは昨年(2006年)その生涯を終えました。
彼の葬儀は1月7日土曜日、アレーゼにあるサン・ピエトロとパウロの教会でしめやかに行われたそうです。


写真 【アルファV6生みの親、故ジュゼッペ・ブッソ】

  

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2007年8月21日 (火)

0066  156のエンジン~その17

V6エンジン/ ③

2600_berlina アルファにとって6気筒エンジン自体は戦前から名作が並んでおり、特に珍しいことではありません。
しかし形式はすべて直列型でした。
1962年、久々に2600ベルリーナで復活した6気筒も直列型、もちろん出力特性や回転バランスにおいて好ましいパフォーマンスを発揮し、シングルキャブレターにもかかわらず当時としてはトップクラスの132psという出力を得て顧客の高級志向に応えました。

ただしスポーティーかつ実用的な箱型車を真骨頂としていた当時のアルファにとって直列ゆえの全長は快適な車内空間の構築にはマイナス要因でした。
また高級モデルとして位置づけた6気筒の購買層がまだ少数だったこともあり、台数はアルファの思惑通りほど伸びなかったと聞いています。

68年、2600の生産を終了するとアルファにのラインナップは4気筒のみになり、直6に変わる新型エンジンへの期待はさらに高まります。
各メーカーがこぞって参加していた市販車ベースのツーリングカーレースでの使用は後々回避できない課題になりましたし、かといってそれだけの新型車リリースは現実的でありません。
欲しいのは直4クラスのコンパクトさと直6並みの回転バランス・・・導き出された答えはV型6気筒でした。


Special Thanks !!

2600 Berlina の写真を探すうち素敵なサイトに出会いました(^^)。

  『BEAUTIFUL CARS OF THE ’60s』
  http://blog.goo.ne.jp/koyapop/

モノクロを中心とした Koyapop さん撮影のオリジナル写真が、惜しげもなく満載されたブログです。
車好きならずともハッと目を奪われる作品の数々・・・添えられたコメントからカーデザインへ造詣の深さがうかがえます。
現代にレストアされた車体と違う、当時そのままの風景と’60s カーの輝き! 是非ご覧下さい。

今回の写真はKoyapop さんから特別に御許可をいただき掲載させていただきました。
この場をお借りして御礼申し上げます~ありがとうございました!!


写真 【アルファ最後の直6 2600 ベルリーナ(直列6気筒)】
    ※ Koyapop さんから御提供いただきました!  
  

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2007年8月18日 (土)

0065  156のエンジン~その16

V6エンジン/ ②

6気筒を意味する『セイ(6)』に搭載されたことから、いかにもアッパークラス向けの高級ユニットとして誕生したように思えるこのV6エンジン。
実は開発当初からレースを目論んだ設計であったことは後々明らかになります。

皆さんご存知のように、市販車にもレースからフィードバックした技術を積極的に採用するのはアルファの特徴でした。
62年発表のジュリアに至っては、DOHCヘッド+5速ミッションにディスクブレーキを搭載、大ヒットとなります。
何せ他社が、OHV、4速、ドラムブレーキ、の時代でしたから差は歴然、ジュリア系はレースシーンでも圧倒的な強さを見せつけ、その高性能ぶりと活躍は目覚ましいものがありました。

70s_alfa_2000gtv_1 しかしスープアップを繰り返しながら発展した結果、68年の1750GTVでブロック容量の限界が見えてきます。
シリーズの終わりを飾る2000GTVは『ジュリア系最速』と言われる名車ですが、1962ccまで拡大されたエンジンは4気筒一体型のライナーを採用するなどの対応を迫られています。
もちろん新型の4気筒開発も考えられたようですが、他社も高性能エンジンの開発に乗り出す中、それを一歩リードするようなユニットが必要でした。

目指すは高性能かつ高級感があり、レース仕様にも耐えられる素性を持った発展性のあるエンジン・・・多気筒化は自然な流れだったと思われます。


写真 【ジュリアシリーズ最終型 2000GTV(4気筒)】 
  

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2007年8月11日 (土)

0064  156のエンジン~その15

V6エンジン ①

たぐい稀なフィーリングで他車オーナーですら魅了するアルファのV6エンジン。
シルキーシックスの愛称で呼ばれるBMW直列6気筒と並んで、名機の誉れ高い傑作ユニットです。
色々と表情を変えながら艶やかな音色と共に吹け上がる様は、まるで生命が宿るかのような錯覚に陥ります(^^)v
アルファオーナーさんの中にはこのサウンドにやられたという人も多いのではないでしょうか。

このエンジンはアルファにとって2600ベルリーナ以来の6気筒で、開発は1960年代の終わりからの数年間、中心となった技師はほんの数名程度であったと言われています。
当初はV型に限っていた訳ではなく、当時中心だった小型4気筒を超えるクラスを念頭に開発していました。
何パターンかの形式が検討される中、回転特性や小型化など求められるいくつかの要件を満たすV6が候補として残ったそうです。

Alfa_6 発表されたこのV6ユニットは、1979年アルファの大型セダン『6(セイ)』に搭載されデビュー、結果25年以上アルファのアッパークラスを基本構造そのままに支え続け、その過程で様々な展開を見せます。
2.5リッターという排気量はこのV6のオリジナル容量で、一連のバリエーションの中心となる存在です。
 

写真 【アルファV6 最初の搭載車 6(セイ)】
  

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2007年8月 7日 (火)

0063  156のエンジン~その14

22jts アルファにおける2リッター級ユニットの歴史はまさに改良と熟成の歴史と言えます。
確かにパフォーマンスにおいて常にトップを保っていた訳ではありませんが、話が感覚的な項目に移れば最上級の形容詞で表現されるフィーリングが特徴でした。

ここ20年に限定しても、75版の8Vをルーツとして、155においてはアルミブロックに古典的フィーリングの8V版TS、スチールブロックならではの剛性感とパフォーマンスの16V-1st版TS、156では正常進化の16V-2nd版TS、そして最新デヴァイスとの融合JTS、これだけ各ユニットのキャラクターが明確でそれぞれ意義のあるエンジン系譜は他に類を見ません。

かなりの領域までコンピューターで解析し設計する最新型エンジンと一線を隔した味わいは、それに携わったエンジニア達の汗の結晶なのかも知れません。
156に搭載のこのJTSですが、2リッター版は方法論をそのままに排気量を2.2リッターまで拡大、基本ユニットをGM系列(オペル製)と移して現在に至っています。

新型が出るたびにその性能と質感に期待が寄せられるアルファユニット。
今後どんな展開になるのか眼が離せませんね(^^)


写真 【159搭載の新型2.2リッターJTSユニット】

  

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2007年8月 4日 (土)

0062  156のエンジン~その13

アルファ 2リッターエンジン比較 ④ TS16V-2ndJTS

16v2ndjtsJTS は見てお分かりの通り、パワー、トルク、共に綺麗なカーブが印象的で、この殆どが直噴方式による正確な燃料噴射から産み出されたものと思われます。
その形は16V-2nd に近いのですが、TS 3機種が何かしらと引き換えにそれぞれの性格を位置づけていたのに対し、JTS は各パートにおいて力強く別格の数値を叩き出しています。

特筆すべきは極めてフラットなトルク特性。
16V-2ndJTS はパワーでこそ10psの違いですが、トルクが全域で力強くなっていることが予想以上に効果を発揮しています。
3250rpmという低い回転域をピークとしながらも、それ以降の落ち込みは非常に緩やかです。
しかし味わいの面ではこれがメリハリ感の薄さとなり、エンジンフィールにおいてはマイナス要因のひとつとして考えられます。
よく指摘される1500rpm以下の細いトルク感ですが、確かにリーンバーン領域の落ち込みはあるものの遜色ない数値を保っています。
2500rpm付近から強く立ち上がるトルクとの比較がもたらした産物なのでしょうか、むしろ実際は従来より太くなっていることが分かります。

TSからJTSへ移行しても基本は同じロングストロークユニットのため、回転数の上限は実質TSと変化ありません。
そうなれば一発ごとの爆発力を上げるしか方法はなく、端的に言えば16V-2ndJTS の違いはトルクの違いです。
排ガス規制もユーロ4適合が課題だったこともあり、直噴化は考えられる最善の策だったと思われます。


写真 【TS16V-2nd と JTS の性能曲線比較】
  
  

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2007年8月 2日 (木)

0061  156のエンジン~その12

アルファ 2リッターエンジン比較 ③ TS16V-1st16V-2nd

16v1st16v2nd156搭載の 16V-2nd は、16V-1st の正常進化バージョンで、ピークトルクを低域寄りに、ピークパワーを高域寄りに振り分けて更なるパワーバンドの拡大を狙っています。
このタイプから採用された可変インテークシステムは高回転域でバイパスを通じインテークの実用長を短くするもので、その効果は充分に伺えます。
ただし2600rpm以下のトルクは16V-1st より僅かながら低い数値となっていて、総合的に見た場合やはり高回転型に振ったチューニングになっています。

面白いのは3800rpm~5400rpm付近で16V-1st16V-2nd の力関係がが逆転していることです。
エミッションコントロールもユーロ3に対応させた中での性能アップであることから、パワー&トルクこれら2つの要素を両立させたしわ寄せが色濃く出た部分なのかも知れません。

考えてみれば16バルブ化の際に継承されたツインスパークプラグも排ガス対応の目的になっていましたし、吸気側可変バルブタイミングゆえの大きいオーバーラップに合わせたものでした。
カムの油圧式タペットにも高速作動時の追従性で不足が目立ち始めており、さまざまなパートで回転数その他の上限が見え隠れし始めた時期でもあります。


写真 【TSユニット 16V-1st と 16V-2nd の性能曲線比較】
  

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2007年7月31日 (火)

0060  156のエンジン~その11

アルファ 2リッターエンジン比較 ② TS8VTS16V-1st

8v16v1stまずはアルミブロックからスチールブロックに移行したTSの比較です。
フィーリングでは16V版に勝るとも言われる8Vですが中域でいったんトルクが伸び悩む部分がありその後、回転が上がるにつれ再び立ち上がっていきます。
結果これがカムに乗って吹け上がる後半の演出に一役買っていると推測できます。

ツインスパーク本来の目的である強大な点火エネルギーは中域から高域にかけてのパンチ力に現れており、これは16バルブ化以降のTSには見られない特徴でもあります。
ただし最大出力域の5000~5500rpmを過ぎると6000rpmにかけて急にトルクが落ち込み、パワー上昇は終焉を迎えます。
このあたりに1気筒あたり2バルブという吸排気効率の限界が感じられます。

8Vに比べ16V-1st は高域までトルクを伸ばそうとした跡が見られ、そのままピークパワーと発生回転数に現れています。
これはスチールブロックによって得た高剛性と、16バルブ化に因るヘッド周りの運動性、吸排気効率の向上がもたらした成果だと言えますし、この型から採用されたバランサーシャフトや軽量クランクシャフトの効果も少なからずあるでしょう。
3000rpm~4500rpm付近の中域トルクはかなり増強されており、当時搭載されていた155の車重には非常に有意義だったと思われます。

唯一、高域ではフラットにしたトルクのマイナス面が現れ、5000rpm以降の一部は8Vよりパンチ力で劣りますが、パワーバンドの広さと最高出力のアドバンテージ等、総合的なパフォーマンスは16V-1st に軍配が上がります。


写真 【TSユニット 8V と 16V-1st の性能曲線比較】
  

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2007年7月28日 (土)

0059  156のエンジン~その10

アルファ 2リッターエンジン比較 ①

PhotoここでJTSを含んだ過去4世代のアルファ2リッターエンジンについて、性能曲線からその進化を検証してみたいと思います。

用意できた性能曲線は、TS(8V、155搭載版)、TS(16V-1st、155搭載版)、TS(16V-2nd、156搭載版)、JTS、の4種類です (以下、各ユニットを太線名で表記します)。
各グラフはクリックすれば大きくなりますので是非参照ください。

困ったことに元資料となった性能曲線が全くバラバラの形式だったため、それぞれをパワーとトルクに分離、表セクションも新規に引きなおして当てはめました。
よってこれらの表は殆どゼロからの作成です。
複数の線をまとめたせいで重複した部分が見づらくなりましたが、色分けでだいたいの雰囲気はつかめると思います。
尚、8V版はカタログ記載の140psに対し元資料の表が145ps付近まで線が伸びていましたので、それを修正した上で引用したことをご理解ください。

4機種を全部まとめたのがこの表です。
大まかな印象としては 8V16V(1st、2nd)JTS と世代が新しくなるにつれ順当に線が伸びていく様子が伺えますね。


Special Thanks !!

同年式156V6オーナーのサキチさんからTS16V(150ps版)の性能曲線を送っていただきました。
今回の比較表作成にあたり、どうしても揃えたかった資料なので非常に助かりました。
この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。
ありがとうございました(^^)(^^)(^^)


写真 【TS(3タイプ) ならびに JTS の性能曲線比較】
  

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2007年7月26日 (木)

0058  156のエンジン~その9

2.0 リッター JTS ②

Jts_head JTSの高性能ぶりは明らかですが、フィーリングに関してはよくTSと比較されます。
特によく言われる『モッサリ感』ですが、無負荷でプリッピングしてみるとアルファ共通の軽やかな吹け上がりを見せることに気づきます。
少なくとも走行中のJTSを外から観察する分には充分アルファサウンドを奏でていると感じます。

有機的とも言える一連のアルファユニット群が独特のメカニカルノイズの魅力をを筆頭に語られるのに対し、このJTSユニットはいかにもメカニカルフリクションの少なさを感じさせる音質です。
実際はトルクが太ったことによるフィーリングの変化もあると思うのですが、もし『面白くない』と表される意味合いがこのフリクションノイズの少なさに在るとしたら逆にJTSは機械的進化を遂げたと言えるのではないでしょうか。
また、JTSは1回1回の爆発に含まれるトルクがそのまま回転上昇とパワーに結びつく素直な出力特性が持ち味です。
直墳方式と正確なガスマネージメントによりトルクカーブは中域の息継ぎやトップエンドのタレが少なく、逆にそれが後半のドラマ性をスポイルしてしまうのだとKawは考えます。

振り返ってみればアルファというメーカー、あまりにも古典的かつ個性的なユニットの時代が長すぎました。
どうもエンジンの味に重きが置かれる傾向があり、改良版や新型ユニットのリリース時は賞賛の声が少ないように思います。
TSでいうなら8バルブから16バルブ化した時、V6ならDOHC化の時などは記憶に新しいところで、タイムプルーフされた頃には再評価されるという展開が数多くありました。
復活の狼煙(のろし)と共に21世紀を迎えたアルファは今後も魅力的な車を作りつづけると確信しますが、その歴史を振り返ったとき、『JTSはやはり正真正銘アルファユニットだった』そう言われるとKawは思います。

JTSは最新テクノロジーのアルファ流解釈の末に生み出されたユニットです。
比較の矛先をアルファ内から他メーカーに向けてみると『やはりアルファのエンジンだなぁ~!』と言わせる魅力がJTSにはあります。
現にJTSに惹かれて156を選択した人が相当数いるのですから、他の無機質に回る電気モーター型ユニットとは一線を画したエンジンであることは確かでしょう。


写真 【JTSユニット ヘッド部分の透視イラスト】
  

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2007年7月24日 (火)

0057  156のエンジン~その8

Jts 2.0 リッター JTS ①

2リッターツインスパークは優れたユニットでしたが、性能的な数値においてライバル車の後塵を拝していたのは事実です。
加えて年々厳しくなるヨーロッパ排ガス規制に対応するためにも、新型エンジンの投入が望まれました。

そこで登場したのがJTSユニットです。
JTSは『ジェット・スラスト・ストイキオメトリック』(ああ~舌噛みそう)の略で、直訳すると『直墳&理論空燃比』を意味します。
その名の通り、各シリンダー内にインジェクターを装備し燃焼室内に直接ガスを噴射するもので、希薄燃焼が可能なばかりでなくユーロ4という厳しいヨーロッパの排ガス規制に適合させるクリーンさと燃費の向上も狙ったものです。
特に希薄燃焼に関してはアイドリング+αの回転域で超リーンバーンとしたことで環境に優しいエンジンとなっています。

JTSのスペックは以下の通りです。

    2.0 リッター JTS 156 搭載版
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
         排気量 1969cc 
    ボア×ストローク 83.0mm × 91.0mm
         圧縮比 11.3 : 1
        最大出力 165ps/6400rpm
        最大トルク 21.0kg-m/3250rpm

スペックを見て想像がつきますが、従来より全域で力が増していることが分かります。
特筆すべきは適正空燃比ならではの11.3 :1 という高圧縮比。
ストロークの関係で回転のピークは6400rpmながら、TSに比べパワーで10ps、トルクで1.9kg-m も向上しています。
発生回転数がTSと同じ事からも、+10psはトルクの増加分と見るべきでしょう。
ちなみにヘッドはほぼ新設計ですが、腰下はTSから受け継いだものなのでボア×ストロークやエンジン重量は変わらずです。


写真 【2.0リッター JTSユニット 透視イラスト】
  

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2007年7月21日 (土)

0056  156のエンジン~その7

その他の ツインスパーク

Ts_head ツインスパークの項目で最初に記したように、156のTSユニットには 1.6 リッター と 1.8 リッター(1.4 リッター は非搭載)があります。
どちらも本国仕様となりますが、1.6 リッター版は147に搭載されて正規輸入されていますね。
これらは単なる2リッターからの縮小版では無く、それぞれ明確なキャラクターを持っています。
先ずはそれぞれのスペックを・・・。

    1.6 リッター TS (ツインスパーク)156 搭載版
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
         排気量 1598cc 
    ボア×ストローク 82.0mm × 75.65mm
         圧縮比 10.3 : 1
        最大出力 120ps/6300rpm
        最大トルク 14.7kg-m/4500rpm

    1.8 リッター TS (ツインスパーク)156 搭載版
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
         排気量 1747cc 
    ボア×ストローク 82.0mm × 82.7mm
         圧縮比 10.3 : 1
        最大出力 144ps/6500rpm
        最大トルク 17.2kg-m/3500rpm

2リッター版は完全なロングストロークでしたが、1.8 リッターはスクエアストローク、1.6 リッターはショートストロークです。
シリンダーヘッド部分は基本的に共通ですが、156から追加された可変吸気システムの搭載は 1.8 リッター版のみ、当然のごとくボア径はスーパーファイアの定番82mm(2リッター版のみ1mm拡大の83mm)を踏襲し、ストロークの変化でそれぞれの排気量を構成していることが分かります。
ブロック側に目を向ければ、震動軽減用バランスシャフトの装備や鍛造クランクシャフトの採用はどちらも見送られています。

1.6 リッターは147のインプレッションから想像するにかなり小気味良い回転上昇が特徴らしく、元々吹け上がりの鋭さに定評あるTSの美味しいところを増幅させた感じなのでしょう。
いかにもイタリア車らしく元気にアクセルを踏むタイプのエンジンと推測できます。

1.8 リッターはなかなか評価の高いユニットで、もしブロックが専用なら小型アルファの中核を成すとも言われるものです。
エンジン重量も 2リッターから約30kg減、1.6 リッターは 1.8 リッターと変わらずということから最もフロントへの負担が少ないTSの一つです。
もちろん絶対性能は2リッターに及びませんが、3000rpm以下でも最大トルクの90%を発生するなど2リッターに見劣りしない実用性能とピックアップのバランスはTS中ベストと噂されます。


写真 【各ユニット共通 TS部分の透視イラスト】
  

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2007年7月19日 (木)

0055  156のエンジン~その6

2.0 リッター TS (ツインスパーク) ⑤

Ts_16v_156 156搭載のTSユニットは155の物を継承、基本形式を変えずに更なる熟成が進められた 『 TS 最終版 』 と言えるユニットです。
ただしフィアット製スーパーファイアブロックの流用という縛りはそのままなので、ヘッドチューン中心に実用車向けブロックからどれぐらいパワーを捻出できるかが156TSユニットの命題であったことは確かです。

インテークマニフォールドは大型ながらも樹脂製とすることで軽量化を達成、可変式を採用したことで回転域に合わせて渦巻き型インテークの実用長が変化し、燃焼室へ理想的な流量を確保できるようになりました。
これを可変式の吸気バルブタイミングと合わせた結果、155搭載版に比べ、パワーで5ps、トルクで0.1kg-m、の向上を見せます。
特筆すべきは、以前より200rpm上で最大出力が、500rpm少ない回転域で最大トルクが発生していることで、実用域のトルクとパワーバンドが増したことにより非常に扱いやすい特性となりました。

156搭載版のTS 、スペックは以下の通りです。

    2.0 リッター TS (ツインスパーク)156 搭載版
        搭載時期 1998/5月 ~ 2002/7月(日本)
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
         排気量 1969cc 
    ボア×ストローク 83.0mm × 91.0mm
         圧縮比 10 : 1
        最大出力 155ps/6400rpm
        最大トルク 19.1kg-m/3500rpm

とはいえ絶対的なトルクは156の車重に対しアンダーパワーです。
ロングストロークならではの粘り強さに助けられながらも、すでにTSエンジンの出力は現代の2リッタークラスとして平均的な数値であり、加速感と実速度のギャップは否めません。
では遅いエンジンなのか?と問われれば決してそうではなく、細いといわれる低回転域のトルクも実際は必要充分なパフォーマンスを提示してくれます。

TSは正真正銘アルファを代表するユニットです。
回転の度合いに応じて表情を変えるメカノイズとエギゾーストノートは、TSが絶対的な速さよりもエンジンフィールと加速のアタリを楽しむエンジンであることを物語っています。
一発ずつの爆発感が回転上昇と共に多少ザラつきの混じった中域を経て高回転域の滑らかさに転じる様子は、他メーカーの4発には見られないTSユニットの美点です。
まさに熟成された直列4気筒ユニットの完成形と言って過言ではないと思います。


写真 【156(前期)搭載の最終型 2リッターTS】
  

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2007年7月17日 (火)

0054  156のエンジン~その5

2.0 リッター TS (ツインスパーク) ④

Ts_16v_155その優れたフィーリングから好評を得たアルミブロック版TSですが、コストやエンジンパーツ共用の関係からフィアット製ブロックの使用を余儀なくされます。
155のマイナーチェンジを境に投入された新型TSがそれで、フィアット製キャストスチール材ブロックへと腰下を変更します。
これはスーパーファイア系と呼ばれる物で、ボアをそのままにストローク変更と搭載ヘッドの組み合わせで多種エンジンに展開する、いわゆるモジュラー式ブロックの一種です。
さすがに2リッターではボアを1mm拡大しましたが、腰下の設計は他排気量やフィアット&ランチアと同一、アルファに与えられた唯一の自由はヘッドチューンのみだったことは容易に想像できます。

反面全てがマイナスという訳でもなく、アルミから鋳鉄へ変更されたことの重量ハンデと引き換えにスチールの高剛性と静粛性を得たアルファは、ミラノとトリノのハーフと評されながらもTSヘッドの改良を進めます。
幸いにもスーパーファイアブロックは小排気量系を念頭にショートストロークからロングストロークまでを想定した設計でした。
そのためストロークさせるのに充分なシリンダー長を確保し、ボア×ストロークはアルミブロック版に近い数値を与えることが出来ました。

このユニットにおける一番大きな仕様変更は8バルブから16バルブへの多バルブ化です。
より多量の混合ガスを送り込み、燃焼後は速やかに排出する・・・いわば自然吸気エンジンの定番とも言える方法です。
バルブレイアウトによりプラグ2本のセンター配置は難しくなりましたが、1本はセンター、もう1本はシリンダー端に逃がした小径タイプとすることで解決します。
8V版では圧縮後にプラグ2本の同時点火でしたが、16V版は圧縮後にメインプラグが、排気工程でサブプラグが点火する方式で、これにより以前のユニットに比べ排ガス対策の意味合いが大きくなったのも特徴と言えるでしょう。

155(後期)搭載版のTS 、スペックは以下の通りです。

    2.0 リッター TS (ツインスパーク)155後期 搭載版
        搭載時期 1995/6月 ~ 1998/12月(日本)
           材質 アルミヘッド+スチールブロック
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
         排気量 1969cc 
    ボア×ストローク 83.0mm × 91.0mm
         圧縮比 10 : 1
        最大出力 150ps/6200rpm (DIN)
        最大トルク 19.0kg-m/4000rpm (DIN)

このようにフィアット傘下での制約にもかかわらず、アルファエンジニア達の地道な努力によりTSは進化していきました。
彼らが如何に優秀な仕事をしたかは、バルブ面積の拡大や高回転域のパワーアップに伴なう中低速域の実質的な痩せが殆ど見られないことからも推測できます。
カム駆動形式はチェーンからベルト式に変更、バランスシャフトの改良も含めて静粛性やフリクションロスの低減を図っているのが分かります。
回転上昇時の爽快感はさらに増し、シャープな吹け上がりは芸術的なものに仕上がりました。


『82-Contents』 
http://homepage2.nifty.com/adachi82/index/indexmain.html
Alfa155、DUCATI 999s、etc.... カー&バイクライフを満喫されているRosso82さんのHP
トップページの美しさや構成デザインに思わず目を奪われるHPです。掲載写真の質も高くて一見の価値アリ!!


写真 【155(後期)搭載の16VスチールブロックTS】
    ※ Rosso82さんから御提供いただきました!
  

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2007年7月14日 (土)

0053  156のエンジン~その4

2.0 リッター TS (ツインスパーク) ③

Ts_8v_155 155搭載のTSですが、75の発展版と言われながら、ピストンストローク一つにしても 『 この変化に何の意味があるのか?』と問いたくなる僅か1.5mmの延長等、メーカー間の事情と思える変更点がいくつか見られます。
これはちょうどフィアット主導によるランチアとアルファの吸収合併と重なっていて、各メーカーの思惑の中でコストダウンのための試行錯誤が背景にあったとKawは考えます。

振り返れば155が生産された6年ちょっとの間、本国では排気量バリエーションも含めて新旧10種(!)近くのエンジンが搭載されており、ツインスパークの仕様変更もその中の一つでした。
実際日本においてV6エンジンが輸入されるまではランチア製ターボユニットとの2本立て販売で、しかも妙にその基本数値が合致することに気が付きます。
先に挙げたストローク(88.5mm → 90.0mm)の話もランチア製ブロックとの共通化と考えればつじつまが合いますね。

このTSユニットは詳細変更により性能数値に若干の変化がありました。
ピークパワーは5ps劣るもののトルクは75版より0.3kg-m向上し、高回転型になりながらもパワーバンドの広がりと実効トルクの厚みを感じさせます。
これは1.2トンを切っていた75に比べ、各種安全デバイス等の増加で100kg近く重くなった155には効果的だったと思われます。
結果アルミブロック版8バルブTSは、鼻先の軽さにも貢献しFFアルファの新基軸として迎えられます

155(前期)搭載版のTS 、スペックは以下の通りです。

    2.0 リッター TS (ツインスパーク)155前期 搭載版
        搭載時期 1992/9月 ~ 1995/6月(日本)
           材質 アルミヘッド+アルミブロック
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 8バルブ
         排気量 1995cc 
    ボア×ストローク 84.0mm × 90.0mm
         圧縮比 10 : 1
        最大出力 140ps/6000rpm (DIN)
        最大トルク 19.3kg-m/5000rpm (DIN)


写真 【155(前期)搭載の8VアルミブロックTS】
  

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2007年7月12日 (木)

0052  156のエンジン~その3

2.0 リッター TS (ツインスパーク) ②

ツインスパークと聞いてまず思い浮かべるのが 『75』、『155(前期型)』 搭載のアルミブロック版。
当時のアルファ製DOHCヘッドは1気筒あたり2バルブ合計8バルブ仕様、これをロングストローク構成のアルミブロックに乗せていました。
同型式プラグは2本とも給排気バルブとクロスする形でセンターに配置され、これは圧縮を終えた混合ガスを強大なファイアリングパワーで一気に燃焼させるという考えに基づいたものです。
さらに吸気のみながら可変バルブタイミング機構と組み合わされた結果、優れた出力特性とフィールで非常に高い評価を受けました。
可変といえばホンダのVTECが思い浮かびますが、実用エンジンに搭載したのは何を隠そうアルファが先駆者なのですv(^^)v

75搭載版のTSユニット、当時のスペックは以下の通りです。

    2.0 リッター TS (ツインスパーク)75搭載版
        搭載時期 1990/1月 ~ 1992/12月(日本)
           材質 アルミヘッド+アルミブロック
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 8バルブ
         排気量 1962cc 
    ボア×ストローク 84.0mm × 88.5mm
         圧縮比 10 : 1
        最大出力 145ps/5800rpm
        最大トルク 19.0kg-m/4000rpm

Ts_8v_75もちろん現代において8バルブ+ロングストロークという構成は時代遅れの感が否めませんが、数値では表せない独特の味わいは形式の古さというハンデを押しのけ今だ根強い人気があります。
チェーンドライブ方式によるランニングコストの低さも特長で、これをTSユニットの頂とする方も多いようですね。
このアルミブロック仕様はプラットフォームからサス形式までガチガチに制約されたあのティーポプロジェクト下でさえ155に受け継がれます。


写真 【最後のFR車 75搭載のTSユニット】
  

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2007年7月10日 (火)

0051  156のエンジン~その2

2.0 リッター TS (ツインスパーク) ①

間違いでなければ・・・たしか以前のイタリア自動車税制は2リッター以上が高騰する制度だったと記憶していますが、現在では2リッター超えの段差は無くなり、代わりに出力(kw)あたり幾らという課税になっています。
この方式は車格や排気量に関係なくパワーに比例しますので、クーペフィアットはメルセデス240Eより約3割も高い税金を支払うハメになります(^^;
ドイツは排気量ベースですが環境問題を睨んでかCo2換算方式になるという噂もありますし、他を見るとイギリスは一律、フランスはイタリア同様のパワーに対して課税される方式です。
日本車がカタログ上の数値を競うかのようなパワー志向なのに対し、ヨーロッパ車が実用域のトルク特を重んじるのはこういった理由があるのかも知れません。

このようにハイパワー車に厳しい税制の絡みもあって、イタリアでは必要充分なパワーをチョイスしエンジンパワーを上まで使いきるブン回し型の走行スタイルが浸透しているようです。
マニュアル比率が多いのはこういう事情だからでしょうか、『オートマ?もしかして体調悪いの?』などとジョーク混じりに表されるお国柄であることはご存知ですね。
そんな環境下、やはり2リッター以下のクラスは各メーカー最も力を入れる区分です。

156リリース当初、エンジンは155から継承される形で4種が搭載されました。
イタリア本国のラインナップは、1.6 リッター直4、1.8 リッター直4、2.0 リッター直4、2.5 リッターV6 の4種。
このうち1.6 リッター と 1.8 リッターは日本導入されなかったので、正規輸入車で我々が選択可能ななエンジンバリエーションは2種のみでした。

そのひとつが 2.0 リッター DOHC ツインスパーク(以下 TS と表記)。
Alfa_dohc名の通り1気筒あたり2本のスパークプラグを用い、燃焼効率の向上とパワーアップを狙ったものです。
TSユニットは現代アルファを代表する4気筒として馴染みが深いだけでなく、数多い2リッター級エンジンの中でも名機のひとつに挙げられるエンジンです(^^)
古くから高性能で名高いエンジンを生み出してきたアルファDOHCの末裔とでも言うべき作品です。


写真 【70年代 アルフェッタ搭載のDOHC(ノンTS) イラスト】
  

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2007年7月 7日 (土)

0050  156のエンジン~その1

Alfa_engine_illustration以前なら『エンジンを買ったらボディーが付いてきた』などと言われたアルファロメオ・・・エンジンパフォーマンスの素晴らしさを表現する反面、全体性能や品質が低いことへの皮肉でもありました。

しかしながら155やGTV等で掴んだノウハウを活かし、156以降のアルファは徹底した品質管理の元、飛躍的にクオリティーを高めます。
昔のように自虐的な表現をしなくても、その優れたエンジンフィールは車好きの心を刺激するシンボルとして声高らかに語られる存在となったのです。

156の搭載エンジンは以下の4種類です。

  ① 2.0 リッター TS (ツインスパーク)
        搭載時期 1998/5月 ~ 2002/7月
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
        最大出力 155ps/6400rpm
        最大トルク 19.1kg-m/3500rpm

  ② 2.0 リッター JTS
        搭載時期 2002/7月 ~ 2006/2月
      エンジン形式 直列4気筒 DOHC 16バルブ
        最大出力 165ps/6400rpm
        最大トルク 21.0kg-m/3250rpm

  ③ 2.5 リッター V6
        搭載時期 1998/5月 ~ 2006/2月
      エンジン形式 V型6気筒 DOHC 24バルブ
        最大出力 190ps/6300rpm
                (192ps/6300rpm)
        最大トルク 22.6kg-m/5000rpm
                (22.2kg-m/5000rpm)
     ※ カッコ内は2002/7月 フェイズ2以降の数値

  ④ 3.2 リッター V6
        搭載時期 2002/7月 ~ 2006/2月
      エンジン形式 V型6気筒 DOHC 24バルブ
        最大出力 250ps/6200rpm
        最大トルク 30.6kg-m/4800rpm

( ※ 搭載時期は、日本国内となります )

残念ながらKawは ② 2.0 JTS と ④ 3.2 V6 について多くを語ることが出来ません。
当ブログでは現所有の ③ 2.5 V6 (と、試乗経験のある ① 2.0 TS )が話の中心となることをお許しください。


写真 【156 TS エンジン イラスト】
  

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